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1日に何分、立って過ごしていますか|特養・老健の離床

投稿日2026年8月11日
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ベッドから車いす、車いすから食堂。その移動を「運ばれる」で済ませるか「歩く」にするか。設備の性能ではなく施設の方針が決めることです。歩く機会のつくり方を整理します。

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院。24時間の生活がある施設のお話です。

利用者の方が、1日のうちどれくらいの時間、自分の足で立って移動しているか。数えたことはあるでしょうか。

朝、ベッドから起きる。車いすで食堂へ行く。トイレへ行く。入浴する。夕方、居室へ戻る。

この移動のたびに、「運ばれる」か「歩く」かの分かれ道があります。

運ばれるほうが、早くて安全です

最初に、現実的なことを書きます。

移動を介助で済ませるほうが、時間は短く済みます。職員の人数も少なくて済みます。転倒のリスクも下がります。忙しい時間帯に、一人ひとりの歩行に付き添う余裕がないのは当然です。

だから多くの施設で、移動は「運ぶ」になります。これは怠慢ではなく、限られた人員で安全を確保した結果です。

それでも歩く時間をつくりたい、と考える施設があります

一方で、こう考える施設もあります。

歩く機会を、もっと日常の近くに置けないか。

機能訓練の20分だけを訓練と考えるのではなく、その20分を利用者の生活圏の近くで、行き来の負担なく確保できないか、という発想です。

訓練の時間を増やすというより、訓練にたどり着くまでの手間を減らすという考え方です。

何が障壁になっているか

この発想自体は、多くの施設で共有されています。実行を妨げているのは、たいてい次の3つです。

障壁 内容
人手 歩行に付き添うと、職員が1人拘束される
転倒への懸念 万一のとき、支えきれるか
場所 平行棒のある訓練室まで連れて行く時点で、移動が発生する

3番目は見落とされがちです。訓練設備が訓練室にしかないと、「訓練室へ行くために運ぶ」という矛盾が起きます。

専用の部屋を用意しなくても置けます

夢歩の標準構成は3メートル×5メートルです。天井にレールを設置する形なので、床置きの器具のように専用の広い訓練室を確保する必要がありません。

15平方メートルほどの区画に天井の条件が揃えば設置できるため、訓練室からは離れていても、利用者の生活圏に近い場所を選べます。デイルームの一角、多目的室、既存の機能訓練スペースなどです。

利用者は手すりをつかむ必要がありません。両手が自由な状態のまま、レールに沿って歩けます。荷重の一部を装置が受ける構造です。

ただし生活動線そのものを覆うわけではありません。居室から食堂までの移動を丸ごと歩行訓練に置き換えるような使い方は、標準構成では想定していません。あくまで区画の中で歩行の距離を確保する設備です。

ただし、どの施設でも設置できるわけではありません。天井の下地、天井高、配管との干渉という条件があり、現地を見なければ判断できません。条件を満たさなければ、そうお伝えしています。

これは設備の話ではなく、方針の話です

最後に、いちばん申し上げたいことを書きます。

「歩く機会をどれだけつくるか」は、設備の性能では決まりません。施設が何を大事にするかで決まります。

同じ設備を入れても、使う施設と使わない施設があります。逆に、設備がなくても職員の工夫で歩行の機会をつくっている施設もあります。

先に決めるべきは、方針のほうです。

「移動は安全第一で、訓練は訓練の時間に集中する」という方針も、十分に合理的です。その場合、天井走行式の設備は必要ありません。

「生活の中に歩く時間を組み込みたい」という方針を持っている施設にとって、その方針を実行しやすくする手段の一つが、この種の設備です。

方針が先で、設備は後です。順序が逆になると、設備を入れたのに使われない、という結果になります。