「生活リハビリ」という言葉を、施設の方から聞く機会が増えました。とくに入所系の施設、つまり利用者が24時間そこで暮らしている場所で多く聞きます。
ただし、指す内容が人によって違います。日常介助の延長として使う方もいれば、機能訓練の代わりに使う方もいます。この記事では、両者の違いを整理します。
時間を区切るか、生活に埋め込むか
いちばん大きな違いは、時間の切り方です。
| 機能訓練 | 生活リハビリ | |
|---|---|---|
| 時間 | 決まった時間に、決まった長さで | 日常動作が発生するたび |
| 担当 | 機能訓練指導員などの専門職 | 介護職を含む、その場にいる職員 |
| 場所 | 訓練室・機能訓練スペース | 居室、廊下、食堂、トイレ |
| 内容 | 目標に沿った運動・訓練 | 起きる、移る、歩く、着替える |
| 記録 | 計画書に基づいて記録 | 記録の形が決まっていないことが多い |
機能訓練は「訓練の時間をつくる」もの、生活リハビリは「生活の中に訓練を見つける」ものという整理ができます。
誤解されやすい点
生活リハビリは、「訓練をしないこと」ではありません。
「できることは本人にやってもらう」という言い方をすると、介助を減らすことのように聞こえます。しかし本来は、日常動作を意図をもって設計するという話です。
ただ見ているのと、意図をもって関わるのとでは、まったく別のものになります。
現場で続かない理由は3つです
理念として反対する人はいません。それでも続かないのは、次の理由です。
1. 担当が曖昧になります
機能訓練には担当者がいます。生活リハビリは「その場にいる職員」が担うため、責任の所在がはっきりしません。忙しい日は誰も実施しない、ということが起きます。
2. 記録が残りません
機能訓練は計画書と記録があり、実施したことが見えます。生活リハビリは記録の形が決まっておらず、やってもやらなくても記録上は同じになります。評価もできません。
3. 場所が用意されていません
「歩いてもらう」と決めても、転倒したときに支えられる場所でなければ実行できません。訓練室には設備があるが、居室から食堂までの動線には何もない、という状態が普通です。
続けるために決めること
この3つに対応させると、決めるべきことが見えてきます。
| 課題 | 決めること |
|---|---|
| 担当が曖昧 | 誰が、どの時間帯に担当するか |
| 記録が残らない | どこに、何を記録するか。既存の記録様式に1行足すだけでも変わります |
| 場所がない | どの動線で実施するか。安全を確保できる区間はどこか |
設備の話は、3番目に関わります。
天井走行式の設備は3メートル×5メートルの区画で成立するため、専用の訓練室を確保しなくても置けます。利用者が普段いる場所の近くに区画を取れれば、訓練室まで連れて行く手間そのものが減ります。
ただし、設備が解けるのはここまでです。区画の中で歩く場所ができるだけで、生活動線の移動が訓練に変わるわけではありません。
ただし、設備だけでは続きません
担当と記録が決まっていなければ、設備があっても使われません。
これは実際に起きることです。設置したものの、忙しい日は使わない。使ったかどうかが記録に残らない。結果として、誰も使わなくなる。
設備は3つ目の課題を解くだけで、1つ目と2つ目は運用で決めるしかありません。
この点は、導入をご検討いただく段階で毎回お伝えしています。